お猿飼育の予備知識
【動物園におけるエキゾチックアニマルの管理】参考
元野毛山動物園獣医タケダペットクリニック院長のお話も参考

はじめに 野生動物を人間が勝手に商用目的で取引した結果、適切な飼育
が出来ずに劣悪な飼育環境に追い込んでしまう場合が多い。
十分なスペースと逃げ場を確保し、野生下における飼育環境を
把握して出来る限りそれを再現する必要がある。

お猿は病気を隠す 本来野生動物である猿は弱みを見せない。それは野生で生き延びる
ための知恵で、何らかの疾患を持っていたとしても元気に振舞うので
外見から判断をつけにくいことが多い。実際動物園で注意深く動物を
観察しているベテラン飼育係でも亡くなる前日まで動物の異常を
見抜けず突然死する事がある。
前日まで元気を装っていた動物の死後解剖すると既に末期的な所見
であった例は少なくない。

押さえつける事の危険 野生下で捕まる事はそれだけで死を意味し、押さえつける事で
ショック死するお猿は少なくない。怪我や治療のためであっても
麻酔なしで見知らぬ人間が押さえつければ、本来の疾患以外の
原因で亡くなることも多い。熱中症を起こし、肺出血したり、急性心不全
を起こす事もあり、とても危険。

検疫、血液検査の重要性 お猿は多くの人畜共通感染症を持っている。購入する際は入手経路が
明確な個体を選び、汚染地域のものは避ける。
まず行動や食欲、糞の状態を観察し、糞便の寄生虫検査、
細菌検査を行う。
最後に麻酔下で体各部の検査、口腔内検査、ツベルクリン検査、
採血を行う。
血液一般、生化学的検査を実施しているがその数は少なく正常値を
確立するには至っていない。しかしその個体の正常値として把握すれば
将来、疾患に陥った時の参考となる。見た目での症状、疾病を判断
する事が難しいので、血液検査は診断の手がかりとして有用である。

犬歯切断の危険 お猿は成長と共に犬歯が伸び、気性も荒くなる事が多いので
飼い主もしばしば怪我をする事があります。そのため、
飼い主が自分でお猿の犬歯を折ったり、やすりで削ったりする人も
いますが、それはとても危険です。
また、現地で捕獲された際にペンチなどで犬歯をあらかじめ折られて
来ているお猿もいます。それがその後どうなってしまうかと言うと、
ばい菌が入って腐り、顔が腫れて目の下辺りから膿みが出てきます。

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犬歯の抜歯については意見も色々ありますが、抜歯をお考えの方は
自分で折ったり削ったりぜずに、信頼できる腕の確かな獣医さんと
相談して行ってください。

寄生虫症 寄生虫は通常、検疫中の糞便検査や下痢症で発見される。
糞線虫、鞭虫、腸結節虫、大腸バランジウムなど。
霊長目にはヒトと宿主域が共有する寄生虫が多く徹底的に駆虫する
必要がある。

自虐症 飼育環境に起因する事が多く、ストレス性の疾患。
自分で毛をむしり脱毛する。範囲は局所にとどまる事もあるが
場合によっては全身に達する事もある。
対処法は環境の改善を行う。ケージの変更や玩具の設置、
他個体との同居、定期的な散歩など。
また、尾の先端をかじることもある。

下痢症 お猿は下痢が多く発生する。
原因は心因性、寒冷、感冒、消化不良、寄生虫、細菌、ウィルス等。

鉛中毒 オリに塗る防錆剤が原因で発症する事がある。
症状は夏期に突然に元気消失、嗜眠、食欲不振、ふらつきなど神経症状が発生し、死亡率が高い疾患である。オナガザル科に多い。
血中鉛が中毒量に達し、夏期に体温が上昇すると熱中症様となった時
合併症によって起こると考えられる。
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