お猿の飼育基本例

ページの項目が多いので、どこから見たらよいか分からない方のために
それぞれ進みやすいように順番にリンクしてみました。

参考までによくある質問からまとめました。
リスザル、タラポアンなどの小型の猿が中心です。
ここに書いた事が絶対正解ではなく「参考」にして下さい。
私が経験した事やお猿仲間、獣医さんからの情報を元に作りました。

***迎え入れる前に***
・まずは「はじめに」を必ず読んでください。このHPのあり方とか考え方が
なんとなくでも分かっていただけると思います。質問やメールをくださる前に
一度目を通してくださいね。

・飼育当初は環境の変化でストレスを感じる子が多いようです。
そのため、病気になったり、食べなかったり、便を食べる子もいます。

鳴き声、走る音がとても大きいです
ペット禁止住宅では無理が出ます。出来る限りペット可の住宅に引っ越しを考えた方が
良いと思います。「ペット禁止住宅で苦情が来たから里子に出す」というお話も
少なくないです。

トイレは覚えません
中型、大型のお猿ならオムツをしている方も多いですが、小型やリスザルは
オムツが出来ない子が殆どです。ストレス、ハゲ、事故の原因にもなります。
糞尿で部屋を汚される場合は、オムツが無理ならカバーをかけます。

噛みます
「お猿はかみます」を見てください。
本当に噛みます。どんなに慣れていても、いざとなると噛みます。
おサル会議室でも、頻繁に噛む事への質問や相談がきています。
しゃべれない子達が唯一訴える方法なのだと思います。
下に噛み癖の項目があります。

都道府県別許可の必要なお猿の種類を参考に
迎え入れるお猿が、お住まいの地域で許可申請の必要が無いか
見てみてください。

・お猿の診察可能な病院を探してください。
これが一番重要かも知れません。私のところへくるメールで一番多いのが
病気についてです。病気が分かってから病院を探しても手遅れになる事が
多いです。下の項目にある検査をしてくださる病院を探しておくとよいと思います。
お猿の医療も見てください。

・用意するもの
ゲージ、給水器、紫外線ライト、止まり木、餌入れ、保温器具、加湿器
ハンモックなど
飼育に必要な物を見てください。
ここでは保温器具しか説明していませんが、お猿は寒さだけではなく
暑さにも非常に弱く、夏、冬の暖房共に熱中症で亡くなるお猿が多発しています。
冷房器具の用意もして下さい。

・猿部屋について
遊ばせる時のための部屋は人間と共有すると誤飲の危険もありますので、
一部屋別に用意できる方はそのほうがよいかもしれません。

ゲージで飼育せず、放し飼い希望の場合リスザル部屋を参考にして下さい。

普段はゲージ飼育で、遊ばせる時間だけ出すためのサル部屋は
タラポアン部屋を参考にしてください。

リビングなど人間と共有する部屋で遊ばせる場合は
お猿を放して危険が無いか、飾りや引き出しなど
サル用に物をなくしておく必要があります。
お猿飼いからの報告でも、
ソファーの下や、タンスの裏など、思わぬところからネジやピアス、タバコ、
押しピン、薬、ボタン、ゴキブリホイホイ、ホウサン団子など、見つけ出し、
誤飲してしまう恐れが多くあります。

サル部屋を用意してあげる事は、すぐには難しいかもしれません、そんな時
馴れていない個体で、リードやおむつが付けられない子、
ゲージにしまう時、なかなか掴まらない子、
部屋を荒らされないために、リードを付けて限られた範囲でしか遊ばせられない方、
家族の反対などで部屋に出せない方など、リスザルくらいの小型のおサルなら
サル部屋の代用として、お風呂場で遊ばせると言う手もあります。

お風呂場なら糞尿も気にならないのでオムツはいらないし、壁が平らな場合が多いので
突っ張り棒や粘着、強力な吸盤などで止まり木の代わりになるものや遊び道具をつけたりも出来ます。
範囲も狭く、おサルを遊ばせるときに人間の物を全て無くすのも容易で、隠れる場所も無いため
捕まえやすいと思います。

冬場は、お風呂場に暖房設備がある場合に限られますが、
お風呂の蓋にタオルやカバーをかけてクッションを置くなど、くつろげる場を作り、
木のスノコや椅子なども活用できます。
注意点として、少しでも濡れているとおサルが滑って危ないです。
棒が細いとおサルでも落ちてしまうので、危なくないよう工夫してください。
石鹸類、シャンプー、洗剤などは全てまとめてお風呂場から無くします。
排水溝のゴミなども注意してください。人間には小さくて目に付かないものも、おサルはすぐに
手に取ります。石鹸など付着しているゴミを口に入れる危険があります。
壁などにも洗剤類が付着していないよう注意してください。

スペース的に走り回る事は出来ないかもしれませんが、リードを付けて遊ぶとか、
ケージの中だけと言うよりは、人間ともスキンシップがとれて、遊ばせやすいかもしれません。

****迎え入れて最初にする事******
・検査をします
2000年より、国で定められた検疫というのは、エボラやマールブルグの
検疫のみです。検疫と言っても、ウィルスや細菌の検査を血液採取で調べるもの
ではなく、数日間サルを観察するだけの検疫ですので、毎日接するペットとして
の検査は全く別のものです。
詳しくは「お猿の検査関連」を参考にして下さい。

迎え入れてすぐに検査に連れて行くのが難しいようなら
まずは検便だけでも行ってください。殆どの子から寄生虫が発見されています。
便を持っていくだけで、サルは連れてゆかなくても検査できます。


***飼育について****

・餌について
リスザルなど新世界猿を飼育されている方、特に3歳未満の成長期のリスザルを
飼育されている方
食事の100%のうち、80%をモンキーフードにすること
残り、ウズラなどのゆで卵を殻のまま与える事、
ピンクマウスやコオロギなども与える事、
フルーツや野菜は補助的におやつ程度与える事が望ましいそうです。
この時与えるモンキーフードは、たんぱく質が25%程度含まれていて
カルシウムやビタミンの添加されているフードが好ましいそうです。
これからの栄養素が欠乏すると、ターバンヘッドといわれる
ビタミンC欠乏症による頭部血種が発生する場合があります。
リスザルのターベンヘッドについて
フルーツ、野菜、昆虫、小動物、などの食事については
お猿の食事を見てください。
また、同時に与えてはいけない餌も参考にして下さい。
動物園でのお猿の飼料
モンキーフードのページも参考にして下さい。

・環境、温度管理
迎え入れて一週間で死んでしまうお猿も少なくありません。
餌などの間違いで死に至る場合には、ある程度時間がありますが
環境や温度管理で亡くなる子は数分でも死に至ります。

温度は気温差の激しい季節、一定の温度では一日中過ごせない事があります。
特に熱中症は数分で死に至りますので熱中症の危険を参考にして下さい。
温度は低すぎても高すぎてもダメです。
私は、人間が部屋着1枚で快適に過ごせる温度を目安にしています。
25度〜28度くらいでしょうか。
湿度が下がると風邪を引きやすいようです。くしゃみの原因にもなります。
冬場は加湿器が必要です。
ほぼ一年中、24時間エアコンを入れている状態です。

・ゲージの置き場所
特注された数メートルあるゲージを使っていれば問題は無いのかもしれませんが
多くは市販されているゲージを繋ぎ合わせたり、工夫して使うことが多いです。
高さ、幅が少ない場合、午前中は風通しを考えて窓際に置いても
午後には直射日光から逃げられない場所になるかもしれません。
日中家に居られない方は、直射日光が当たらない場所に置き、
紫外線は専用のライト(レプティサン、トゥルーライトなど)を使い、
週末、朝の散歩などで補ってください。

ゲージの周りの壁は餌や糞尿で汚される事が多いので、
アクリル板を張ったり、フローリングを壁に張ります。
ゲージの下にローラーが付いている場合など、場所がずれてしまう事があります。
しっかり固定して、手の届く範囲に物が無い事を確認してください。
余裕を持った広さの場所にケージを置くほうが良いです。

また、エアコンの風が直接当たらずに温度が管理できること
コンセントの場所も注意が必要です。

人間や、他のペットが常に同じ部屋に居ると、緊張で眠る事が出来なかったり
ストレスを抱える場合もあります。

・体重管理
体重の量り方を参考にして下さい.
日ごろから定期的に体重を量ることで健康管理もしやすいです。

・お風呂、体の洗い方
体の拭き方を参考にして下さい。
タラポアンは比較的お風呂好きな子が多いのですが、
リスザルは水を恐がり、嫌う子が殆どです。
拭くのが難しい時は、ケージ内に、マットやフリースなどを多く使うことで、
自分で寝転がって体を拭く動作も多く見られます。
また、布が多いと、自動的に体を拭いているので、汚れにくいです。
ケージ内のハンモックやマットは毎日取り替えが必要です。

・掃除
ゲージの形によって掃除は異なりますが、ハンモックなど
餌や糞尿をためてしまう場合がありますので、毎日取り替えます。
水で掃除するよりも、お湯でふやかして掃除した方が楽。
また、お湯だけでなく、オレンジエックスを50倍、100倍に薄めて
使うと、臭いも軽減され、汚れも落ちやすいです。


・噛み癖
迎え入れてすぐは、お互いに緊張状態にあり、すぐにケージから出して
遊ばせると言うのは難しいかもしれません。
噛みつく場合も多々あります。または、慣れてきた頃に噛み付く場合もあります。
お猿に噛まれた傷を参考にして下さい。
特にリスザルは長年飼育していても噛み付く個体が多く見られます。
ベビーから飼育しても同様です。
アンケートの結果90%以上が「たびたび本気で噛まれる」と答えています。
アンケートを見ていると、リスザルはオスの個体の方が激しく噛み付く事が多いように
思いました。

しつけについて
長年飼育しているお猿仲間の間でも、「しつけ」については
意見が多数あります。
人間のしつけが一つでないように、お猿のしつけも一つではありません。
飼い主さんの性格や環境、年齢、家族構成、時間、仕事、
お猿自身の性格、性別、種類、年齢によって様々です。
何ヶ月も何年もかけて自分とその子にあった方法を見つけるしかないと思っています。

しつけの難しいところは、甘やかすとお猿の立場が上位となり、人間がなめられて
手が付けられなくなる、凶暴になるという事があります。
この場合、毎日ケージから出して遊ばせ、スキンシップをとることが困難となります。

また、人間を上位にするため、厳しくしつけると、萎縮して常に怯えてしまう
お猿も居ます。このタイプは一見おとなしく従順に見えますが、飼い主と居ることが
ストレスとなり剥げてしまう子、病気になる子もいます。
また、リスザルは頭蓋骨が弱く、叩いた事で死んでしまう場合もあります。
フサオマキザルは、一度叩かれた事を長く引きずり、極端に怯える場合もあります。

オナガザル科の猿は比較的丈夫なようですが、叩くとしても絶対に頭以外。
押さえつけたり、両手を後手にする方法もあります。
野生下でのお猿同士の戦い方を参考にされる方もいらっしゃいます。

物で叩いたり、勢いで壁に叩きつけてしまう方も中にはいらっしゃいますが
本当に危険です。

・犬歯
リスザルで犬歯の処置をしている方はほとんどいませんが、
タラポアンのオス、フサオマキなど中型以上のお猿を飼育する場合は
犬歯の処置をされている方も多いです。
野生と違い、硬いものを噛む事が少ないためか、どんどん犬歯が伸びて
自分の口を傷つけてしまう事もあります。
また、先が鋭いので、触れただけでカッターで切られたような傷になったり、
2匹以上で飼育している場合、お猿同士で遊んだだけで怪我することもあります。

犬歯切断の危険
抜歯:歯を根本から抜きます。健康な歯を抜く場合はあごの骨が割れる場合があるそうなので、
経験豊富な獣医さんで相談の上検討してください。
また、犬歯はお猿にとって一番の武器、自信、強さの象徴なので、犬歯を抜く事で
扱いやすく従順になる場合と、自信を無くし、意気消沈してストレスを抱えてしまう子も
中にはいるようです。

削る:飼い主さんがヤスリで削ったり、ペンチで折る方もいらっしゃいますが、
絶対にやめましょう。削り方によって、歯からばい菌が入り、腐って顔まで腫れあがり
破れて顔から膿と血が出ます。
経験のある獣医さんで相談の上検討してください。

先を少し丸めるだけで随分違うので、根本まで折ったり削ると、その後の処置も大変です。
中には先を削っただけで腐る事もあります。その時は同じように抜歯し、治療が必要です。
抜歯がよいのか、削った方がよいのか、またそのままで飼育してゆくか、
考え方はそれぞれです。

・リード、ハーネスについて
リード・ハーネス・胴輪のページを参考にして下さい。
リスザルは特に嫌がる子が多いです。首輪は本当に危険なのでお勧めできません。
胴につけるか、ハーネスにします。
また、ケージに入れている間もつけっぱなしにするのは大変危険です。
リードや首輪で絡まったり、首が絞まる事故は本当に多いので、
出す時だけ付ける、散歩のときだけ付けるなど
飼い主さんが見ていられる間だけ付ける方が安全です。
毎日付けはずしをする方が、初めは大変でも習慣になりやすいです。

リードに慣らすには、「これを付ける事によって楽しい事がある」とお猿に
思わせる方法があります。
つけた後、好物のおやつをあげたり、部屋で自由に遊べる、
飼い主さんとスキンシップできるなど、リード=楽しみと思わせます。
散歩に出かける事が好きな子は付ければ散歩に出られると思い、
習慣になり、おとなしく付けられる様になる場合もあります。
少し間違えると、毎日押さえつけられて恐怖になる場合もありますし、
押さえつけられることでショック死する事もあるそうですので、無理せず行ってください。

散歩は有毒植物を口にしたり、落ちている食べ物や虫、ゴミなどの
誤飲の危険もあります。また、慣れていない子はカラスなどに驚いて
急にジャンプしたり、リードがはずれる危険もありますので注意してください。

家の中でも、運動不足にならない自由なスペース、
ストレスをためない遊び時間、紫外線、が確保できるなら
「絶対に散歩が必要」だとは思いません。

・洋服・おむつ
洋服やおむつを付ける事は、絶対に必要な事ではありません。
ただ、外出させる時、部屋を汚したくない時など、オムツがあると便利な場合や、
冬の外出時、防寒のために洋服を着せる事があります。
リスザルの場合は嫌がる子が殆どですので、あまり参考にならないかもしれませんが
洋服を着せて散歩してみたいという質問も多いので掲載します。
オムツの作り方
お猿の洋服
靴下セーター
リスザル、タラポアンのサイズならテディーベア用の洋服で代用できます。
防寒の場合、丈が短いので、靴下セーターを先に着せてから
その上にテディーベア用の洋服を着せます。
フサオマキ、タラポアンの成体オスなら小型犬用でも代用できます。

・押さえつける
捕まえる時、体重を量るとき、体を拭く時、しつけ、薬を飲ませるときなど
何度か押さえつけなければいけない時があるかもしれません。
噛まれる危険のある時は、厚手のトレーナーを着て、バスタオルで捕まえます。
つり用などで売られている人差し指と親指だけ開いた厚手の手袋も使いやすいです。
猿の顔をタオルで覆う方が落ち着くこともあります。
バスタオルで掴んだら、両膝ではさんでお猿を固定すると作業しやすいです。
押さえつけてショック死するお猿はとても多いそうなので、
状態、慣れ具合、顔色、呼吸など、十分に注意が必要です。

・二匹目を迎え入れる
・他にもお猿がいる人は検査するまで二匹を絶対近づけない。
(検便・血液検査・ウィルス検査で異常が無い事を確認)
お猿同士一緒に飼育したい場合は、検査後お互いの相性も考えて、
無理せず少しずつ対面させてください。
飼い主のほんのちょっとの気の緩みから、お猿同士大怪我もあります。
同じ種類のお猿同士でもどうしても無理な場合はあります。皆がうまくいくわけではありません。


「お猿がどうやったら馴れるか?」ではなく、
「自分が、ありのままのその子に馴れるもの」かなと思います。
肩に乗せて散歩したいとか、寝るのもお風呂も一緒が良いとか、
理想があると思いますが、悩みすぎず、先走らずに、ゆっくり時間を掛けてみてください。

アニバスに来てくださるお猿飼いって、本当に真面目で一生懸命な方が多いなと感じます。
その分、噛まれたり、なつかないと落ち込んでしまうんですね、
皆そういう時間を乗り越えて来ているので、一人でへこまず、掲示板などで
相談してみてください。
「うちの子だけなつかない、皆のおサルは良い子なのに・・」って
思う時もあるかもしれません、特に写真だとそう見えます。
でも結局は皆同じなんだと思いますよ。

我が家のラナちゃんは、私を恐がらなくなるのに3年かかりました。
友人の飼育しているリスザルは、4年飼育して、はじめて肩に乗ってくれたそうです。
もう駄目だと思っても、ある日突然心を許してくれる事があります。焦らず、じっくりです。

その他
お猿飼育の予備知識
リスザルの簡単知識
タラポアンの簡単知識
など

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